二葉高女子サッカー部員ゼロ、存続の危機

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今までの活動を振り返り、これからの女子サッカー部への思いを語る(右から)平林さん、岩波さん、鎌倉教諭

県内の高校では初の女子サッカー部として創設された諏訪二葉高校(諏訪市)女子サッカー部の存続が危ぶまれている。今年度の部員は3年生の2人だけ。その2人も引退してゼロとなった。近年、部員数が減少し、来年度も入部者がいないと同好会に降格し、ゆくゆくは廃部の可能性もある。2人は「二葉の女子サッカー部を守りたい」と願い、来年度の新規部員の入部に期待を寄せている。

■県内高校初の創部

同部は2007年に同好会として発足。顧問の鎌倉美月教諭(28)によると、11年には部員数が30人を超えるなど活発に活動していたが、近年は徐々に減少。同校だけでチームを組むことができず、大会には他の公立高校との合同チームで出場していた。

同部の行く末を心配しながら引退した3年の岩波里央さん(17)と平林未来乃さん(17)。2人が入部した当初は1年生4人、2年生4人、3年生6人の14人が所属していたが、3年生の引退後、2年生全員と1年生の2人が退部した。2人はこのまま部活動を続けるか悩みながらも練習を続け、大会にも出場。試合の際は部員数が多い学校のユニホームを着て挑んだ。

鎌倉教諭は部員の減少について「高校でサッカーをしたい子は私立に行く傾向がある」と指摘したほか、「日焼けを気にする子が多く、外の競技は敬遠されやすい。高校から新しい部活にチャレンジしようと思ってもサッカーはハードルが高いのかもしれない」と考察する。公立高校の女子サッカー部員の減少は諏訪二葉に限らず、今年度の県高校総体では単独で大会に出場したチームはなかった。

2人が3年になった今春、同部のOGでもある鎌倉教諭が同校に赴任し、顧問に就任。先輩でもある鎌倉教諭との出会いは「部を存続させたい」と願う2人の思いを強くさせた。一方で、新入部員の勧誘にあたっては「入部した子が私たちと同じ大変な思いをしてしまうのではないか」との葛藤もあったという。

久しぶりに「諏訪二葉」の赤いユニホームを着てサッカーを楽しむ2人

■最後も合同チームで

複雑な思いを抱えながら1年生の教室を回って手作りのチラシを配ったが、2人の願いはかなわず、新たな入部者はゼロ。最後の大会も合同チームで出場し、「諏訪二葉」の校名が入った伝統の赤いユニホームを着ることはできなかった。

引退後もサッカー部に対する2人の思いは変わらず、7月末に学校で行われた体験入学では久しぶりに練習着に着替え、中学生に部活体験を呼び掛けた。来年度用の勧誘チラシも卒業前に作り、鎌倉教諭を通じて新入生に2人の思いを届ける予定だ。

岩波さんは「できればたくさんの部員が入って二葉のユニホームを着てほしい」、平林さんも「私たちが卒業後もOGとして戻ってこられる場所ができていたらうれしい」と話す。

2人は現在開催中のサッカー女子ワールドカップの日本戦も欠かさず観戦。「日本代表が優勝して女子サッカーに興味を持ってくれる女の子が増えてくれたら」と盛り上がりに期待している。

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