2023年8月13日付

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難攻不落の大坂城を舞台とした合戦「大坂の陣」。徳川家と豊臣家が雌雄を決した戦を映像化した歴史ドラマは数多くある。徳川家康の生涯に焦点を当てたNHKの大河ドラマ「どうする家康」もいよいよ後半に突入。戦国時代最後の戦がどう描かれるのか楽しみにしている▼秀吉の死後、両家をつなぐ交渉役として豊臣家に尽くした武将片桐且元(かつもと)。「賤ヶ岳の七本槍」の一人で豊臣家の家老も務めた人物だ。ただ後に徳川家へ寝返ったこともあり、武将としての評価はかんばしくない。両家の板挟みに苦悩する且元。身内からも疎まれ、居場所を失っていく姿に中間管理職の悲哀を感じてしまう▼上・下伊那地域の境に位置し、中川村片桐と松川町上片桐にまたがる船山城は平安時代末から室町時代末にかけて伊那谷で栄えた名族、片桐氏(片切)の居城。清和源氏の流れをくむ信濃守・源為公の子、為基が同村に居を構え、郷名を名字にしたのが片桐姓の始まりとされる▼全国の”片桐さん”発祥の地をうたう中川村。且元やその弟で小泉藩(奈良県)初代藩主を務めた貞隆(さだたか)のルーツが同村にあることを知り、親近感が湧いた▼且元らが城主を務めた茨木城(大阪府茨木市)。私事だがその城跡に建つ小学校に低学年まで通っていた。宅地化された一帯に城をしのばせるものはほとんどないが、所在地の町名に残る”片桐”に、不思議な縁を感じている。

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