「おさんやり」伝統つなぐ 箕輪町南小河内

柴舟を担ぐなどして区内を練り歩いた住民たち
箕輪町南小河内に伝わる厄よけ行事「おさんやり」(町無形民俗文化財)が16日にあった。舟を模したみこし・柴舟を担ぐなどした住民たち。担ぎ手の高齢化などに伴い、みこしを試験的に引っ張るなどの対応も余儀なくされたものの、コロナ禍前以来4年ぶりとなる区内巡行を完遂。無病息災や地域の安寧を祈願しつつ、伝統行事を引き継いでいくことを固く誓った。
柴舟は全長約9メートル、高さ約4メートル、重さ約400キロ。住民たちが12日に、カラマツやナラの木でこしらえた土台に、舟に見立ててササを巻き付け作製した。担ぎ手の高齢化に伴い、対応策として土台の四隅に車輪を装着。巡行距離は、コロナ禍前の半分ほどの約2キロに減らした。
白装束に身を包んだ約50人が交代しながら柴舟を担いで練り歩いた。所々で車輪を使って引っ張り、約1時間かけて区内を巡行。日が沈んだ頃、垂直に立てたナラの木の周囲を3周すると、柴舟を地面にたたき落として壊した。破片は厄よけのお守りとして住民たちが持ち帰った。
区によると、おさんやりは200年以上受け継がれている盆行事。江戸時代に、天竜川と逆方向に流れる区内の水路「大堰」を介して疫病がまん延した際、舟を作って厄払いをしたのが起源とされる。
区や公民館分館などでつくる同区盆祭実行委員会の赤羽哲則会長(66)は「無事に巡行でき、ほっとした。工夫しながら、後世に何としても引き継いでいかないといけない」と言葉に力を込めた。