演劇で子ども育成 「チーム息吹」伊那公演

伊那市での初公演で江戸時代の農民一揆を題材にした劇を演じるメンバー
福島県会津地域を中心に演劇を通じた小中高生の人材育成に取り組む団体「チーム息吹」の公演が19、20の両日、伊那市の県伊那文化会館で行われている。同市の企業や団体が実行委員会を組織して誘致し、市内での初公演を実現させた。江戸時代に同地域で起きた農民一揆を題材にした「息吹~南山義民喜四郎伝」を演じ、迫真の演技や踊りで来場者を魅了している。
チーム息吹は、地元の歴史をひも解きながら舞台を創作することで地域を愛する子どもを育てようと活動する。同じように取り組む沖縄や鹿児島などの全国各地の計4団体が「現代版組踊」として互いの公演に友情出演し、人材育成を行っている。
今公演は次々と重い年貢を課された農民らを中心に展開する物語。家族や村の生活のため一揆を企て、打ち首になっても後の年貢軽減を実現させた経過を描く。年貢に苦しみ、命を投げ出してでも蜂起した農民の切実な思いを危機迫る演技で伝え、華麗な踊りで公演に花を添えた。
19日の公演で主人公喜四郎役を務めた沖縄県南城市の中学3年上原優愛さん(15)は「百姓の気持ちを未来につなぎたいと思い演じた。伊那の皆さんにも物語や活動を知ってほしい」と話し、20日の公演への来場を呼び掛けた。
同県会津若松市と伊那市は江戸時代の藩主保科正之の縁で親善交流都市を締結し、交流が盛んだ。実行委の林治男委員長(63)は「子どもたちが懸命に演じる姿に改めて感銘を受けた。将来は上伊那の子どもも参加し広域的な活動になれば」と期待していた。
20日も2回公演があり、正午と午後5時開演。当日券は大人3500円、高校生以下1500円。