山麓周遊バス利用探る 駒ケ根市が実証実験

駒ケ根高原で実証実験を行っている山麓周遊バス。天窓が開くオープントップの車内が好評という
駒ケ根市は、駒ケ根高原に点在する観光拠点の周遊を促す取り組みとして、山麓周遊バスの実証実験を行っている。3年目の事業。今年度は初めて観光トップシーズン(7~10月)に有償運行を実施。学校が夏休みに入った7月後半から利用者が徐々に増え、今月から利用者アンケートも始めた。トップシーズンの運行や有料の場合の需要を把握、事業の継続やルート、ダイヤ、料金設定などを検証し、導入の可能性を探る。
市内の公共交通は、市内巡回バスを廃止し、2013年度からこまがねデマンド型乗合タクシー(こまタク)を運行している。こまタクは通院や買い物など市民生活を支える目的の交通システム。JR駒ケ根駅から山麓のロープウエー発着駅までを結ぶ路線バスはあるが、観光拠点を巡る交通手段がなく、観光客らの観光周遊が進んでいない。
市は21年度、中央アルプス山麓の観光資源を結ぶ新たな交通システムの導入を目指す同事業を開始。実証実験を通じて観光客の足となる交通手段を探っている。21年度は時速20キロ未満で公道を走れる電動車を活用した「グリーンスローモビリティ」、22年度はEVバスを使った「環境配慮型モビリティ」を期間限定で無償運行。山麓周遊バスに対する一定の需要を確認した。
今年度は夏から紅葉シーズン(7月1日~10月末)にかけて有償で運行中。1日4便で、発着点のビアンデさくら亭(同市)の発車時間は午前10時45分の始発から第4便まで1時間間隔。さくら亭、北川製菓、本坊酒造マルス信州蒸溜所、駒ケ根ファームス、光前寺、家族旅行村の露天こぶしの湯、養命酒駒ケ根工場を回っている。宿泊登山者の前泊日、後泊日の観光利用をターゲットに定め、多ジャンルを盛り込んだ。
市地域公共交通協議会によると、高原の景色や開放感を味わってもらおうと用意したバスは座席上の天窓が開く仕様で、「車内が明るくて開放感がある」と好評。7月末までの乗降者数は363人。観光客が8割を占めた。1日平均11.7人で、目標の24人には届かなかった。同会はPRを強化し利用増を図る考えだ。
市民ニーズも把握したいと考えており、自家用車とは異なる観光周遊が楽しめるとして「ミニ旅行気分が味わってほしい」と地元住民にも利用を呼び掛けている。
運賃は1乗車200円、1日券500円。小学生以下半額、未就園児無料。