多彩な造形、陶芸作品 サンリツ服部美術館

うちわの形を模した「上野団扇形鉢」=サンリツ服部美術館
諏訪市のサンリツ服部美術館は、陶磁器の形や技法に焦点を当てた企画展「陶芸 かたちとの出会い」を開いている。紀元前1世紀から江戸時代後期までの茶わん、鉢、花器など約40点を展示。美を追い求め、文明の発展とともに生み出された多彩な造形を紹介している。9月18日まで。
同館によると、かつては煮炊きの鉢や貯蔵用のつぼなど日用雑貨が中心だったが、時代とともに用途に合わせた成形方法が生まれ、風土や流行に即した器が多く作られた。会場では3部構成で展示し、形、成形技法、装飾に触れている。
重要美術品の「伯庵茶碗 銘 奥田」は17世紀の作。ビワ色が美しく、ろくろを使って作る時にできる横筋「ろくろ目」が特徴。江戸時代の医師曽谷伯庵(1569~1630年)が所持したことにちなみ、同種の器を伯庵茶碗と呼ぶ。短期間で生産され、現存数が少ないという。
「白釉黒花龍鳳文扁壺」は中国元時代に流行した扁平の形が見られ、表面に龍、裏面には鳳凰をデザイン。うちわの形を模した「上野団扇形鉢」は、内側に筋を入れてうちわの骨を表し、持ち手の部分に竹の節をかたどる。
同館学芸員の藤生明日美さん(38)は「陶工がどのように作り上げたのかと思いを巡らせるのもいい。人々の暮らしを支えてきた魅力あふれる陶磁器の世界を楽しんでほしい」としている。
午前9時30分~午後4時30分。休館は祝日と月曜日。入館料は大人1100円、小中学生400円。問い合わせは同館(電話0266・57・3311)へ。