2023年8月27日付
20日に閉幕したFIFA女子ワールドカップ。なでしこジャパンの快進撃とともに、今回も試合後の観客席でごみ拾いをする日本人サポーターの姿が海外メディアの注目を集めた。「スポーツ界で最高の伝統」。海外からの称賛の声を誇らしく思った▼サッカーの国際大会では日本のお家芸になりつつある観戦後のごみ拾い。きっかけは1995年のワールドカップメキシコ大会予選とされ、サポーターの自発的な取り組みが定着していったという▼こうした状況を受け、インターネット上では日本人の民度の高さを喧(けん)伝する書き込みも目立つ。サポーターの行動は評価されるべきだが、それだけで民度をアピールするのは自己肯定感が強過ぎるように感じる▼広島県の河川敷で7月、バーベキューに訪れた男女約20人のグループが生ごみや調理器具、食器など一式を放置して立ち去ったという報道を目にした。20人もいて誰もいさめる人はいなかったのか。一部とはいえ、他人の迷惑を顧みない日本人がいることを恥ずべきだろう▼4年ぶりに花火大会を開いた諏訪湖では16日、ボランティアや有志によるごみ拾いが行われた。回収したごみの総量は前回大会を大幅に下回ったようだが、それでも5トン弱ものごみが放置されていたことに驚く。活動には地元の子どもたちも参加したと聞く。一部観客の愚行を反面教師とし、マナーを守る大人に育ってほしい。