再エネを地産地消 諏訪市公共施設の屋根貸与

新たにオンサイトPPA方式で公共施設に太陽光発電を導入する諏訪市。「再エネの地産地消」をPRするポスターも作成する
諏訪市は、再生可能エネルギー事業などを手掛ける信託会社ジェイバリュー信託(東京)と共同で、オンサイトPPA(電力販売契約)方式の太陽光発電を公共施設で導入する。市役所本庁舎の屋上と諏訪中学校の体育館屋根を同社が無償で借りて設備の設置から運用までを担い、発電した電力を2施設に供給する方式。市は使用した電気代を同社に支払う。公共施設を活用して「再エネの地産地消」を進める取り組み。今年度中に同社が設備を整え、来年4月から発電を始める計画だ。
市は、施設管理者による維持管理が不要である点や、災害時の電力確保につながることからも同方式に着目。導入可能性調査を経て4月にプロポーザルを行い、同社を事業実施候補者に選定した。共同申請した国の補助事業にこのほど採択された。
同社は今後、役所の業務や学校の授業に影響が出ないよう日程調整しながら、屋上や屋根への太陽光パネルの設置工事を進める。
市によると、市役所は発電出力99キロワット、諏訪中体育館は107キロワット。年間発電量は120~130メガワット時を見込んでいる。市役所では年間使用電力の約20%を、諏訪中では約50%を、それぞれの敷地内で生まれた再エネで賄える計算になるという。
蓄電池(容量20キロワット時)を合わせて導入し、災害時の夜間電力としても活用できるようにする。同方式では電気代を固定価格で設定するのが基本となり、今回の契約は20年を予定。将来的な電気代高騰に対するリスクを軽減できることも利点に挙げる。
連携して「見える化」の取り組みを進める考えで、市役所ロビーと校舎内に発電量が分かるモニターを設置。普及啓発用のパネルやポスターを作り、再エネに対する関心の醸成や環境教育につなげる。
市ゼロカーボンシティ推進室は「脱炭素社会の実現に向け、地方自治体は地域を牽引する立場。新たな手法を採り入れながら率先して取り組んでいく。再エネ導入の一つのモデルとして地域の民間事業者の参考にもなれば」と話している。