2023年8月30日付
防災の日を間近に控え、県内各地で地震防災訓練が行われている。コロナ禍の影響もあり、久しぶりに地域住民が総参加をして実施した地区も多かったようだ▼大規模地震や豪雨災害などによって避難が必要に迫られた時の避難場所を知っている割合は、当該住民のうち、どのくらいだろうか。知っていてもその場所に行き着くまでの避難経路は安全性が保てるだろうか▼各自治体は、ハザードマップ(災害予測地図)を作成し、住民に公開している。ここには、洪水や土砂災害、地震危険度などが地図上に色分けして掲載され、注意喚起している。日頃から身の回りの情報を収集して確認し、いざという時に備えるのが肝要なのは言うまでもない▼先日行われた諏訪市の訓練では、赤羽根、武津、清水四区が新たな試みを行った。土砂災害特別警戒区域内に公民館がある区や、広域避難場所へ向かうのは道路冠水の恐れがあり危険と判断した区が、県有施設を避難場所にするように市議や市を通じて交渉。快諾を得て独自に避難場所に設定し、訓練に参加した▼3地区の幹事の両角浩志赤羽根区長は、「区民から、災害時に避難する場所がないと言われて交渉を続けてきた」とし、今回の成果を強調した。地域の実情を一番よく知る区長が、関係者に働きかけて災害時に本当に役立つ手順を再構築する。机上の論理ではない、地域に根ざした取り組みと感じた。