笹原のシダレヤナギ 茅野市天然記念物指定解除
茅野市教育委員会は29日に市役所で開いた定例委員会で、同市湖東笹原の公民館前に立つ市指定天然記念物「笹原のシダレヤナギ」の指定解除を承認した。4日早朝に地域住民が倒れているのを発見し、同日中に市教委が確認していた。
市教委によると、「笹原のシダレヤナギ」は笹原区が所有。指定は1980年3月14日。樹齢は110年前後と推定され、目通り幹周りは4.22メートル、樹高は約20メートルで諏訪地方で最大のヤナギとされていた。ただ、以前から木のうろの進行が心配されていたという。4日未明に根から1.5メートルほどの高さで折れて倒れた。
市教委は区からの正式な届け出を受けて7日に文化財審議委員に報告。17日に意見聴取したところ、このシダレヤナギが諏訪地方で最大だったことが指定理由にあるため「指定文化財としての価値を失った」と判断。全会一致で指定解除が適当とした。市教委の承認により、今後、正式に告示された時点で指定が解除される。指定が解除されれば市指定天然記念物の植物は11件となる。
29日にシダレヤナギを訪れると、残った幹から細い枝が伸びて葉を揺らしていた。脇の看板によると、明治5~18年頃にあった笹原学校の生徒の一人が授業料が納められなくなったため、代わりにヤナギの木を1本植えたのがこのシダレヤナギだという言い伝えがあるという。
近くに住む女性は「ずっとあるのが当たり前だった大きなシダレヤナギが根元だけを残して倒れてしまったのを見るのは寂しい」と話していた。