介護に”やわらか食”家電 岡谷で試食体験会

「やわらか食」を試食する参加者
諏訪地方の歯科医師や歯科衛生士らでつくる「OZAWA会」(小澤智里代表)は8月30日夜、”やわらか食”の試食体験会を岡谷市の小井川平成会館で開いた。会員のほか管理栄養士や介護職員など計15人が参加。患者や介護従事者の食の希望に応えようと、食材を柔らかくして食べやすくする調理家電に理解を深めた。
口腔疾患や嚥下障害のある人は固いものが食べづらく、病院や施設では誤嚥性肺炎を防ぐために食材を細かくした「ミキサー食」や流動食が多いという。在宅の患者などからは「家族と同じものが食べたい」という声も上がっている。
やわらか食家電は料理の外観はそのままに、食材を圧力をかけて柔らかくする家電で、大手家電メーカー・パナソニック(東京都)の社内新規事業創出プラットフォームから生まれたベンチャー企業「ギフモ」(京都府)が開発した。
試食会では、やわらか食家電を開発した水野時枝さんが調理を指導。この日は、「うなぎご飯」「なっとう巻き」「からあげ」などの調理を実演した。巻きずしなどに使われている焼きのりは、嚥下障害がある人には禁物で、柔らかく調理することで上顎にくっつきにくくなり、唐揚げも上顎と舌でつぶれるほどの柔らかさになった。
自身も高齢者介護の経験がある水野さんは「ほかの家族とは別に高齢者用の食事を作るのは大変。やわらか食家電を使えば、家族用の食事にひと手間かけるだけで高齢者用の食事が作れ、見た目が同じ食事を家族で食べられる」と説明した。
同会の小澤代表(58)=諏訪市豊田=は「やわらか食家電を知らない歯科衛生士や介護従事者も多い。多くの人に知ってもらい病院や介護施設、介護現場に普及すれば」と話していた。