伝統の弥生高茶道部 コロナ禍経て戻った活気

お点前の稽古に励む部員
100年近い歴史と伝統のある伊那弥生ケ丘高校(伊那市)茶道部。コロナ禍が落ち着きを見せる中、従来の活動が再開し、部活に活気が戻っている。6月の文化祭では4年ぶりに呈茶サービスを行い、7月には京都府の「表千家不審菴」で行われた学校茶道研修会に5年ぶりに参加した。文化祭をもって3年生が引退し、現在部員は2年生6人となったが、「先輩たちから引き継いできた伝統ある茶道部を自分たちが盛り上げていきたい」と熱心に取り組んでいる。
同部で17年ほど講師を務める表千家教授の春宮千春さん指導の下、週1回、お点前の稽古に励んでいる部員たち。日頃の成果を披露する場だった同窓会総会や文化祭での呈茶サービスは、コロナ禍の3年間は全て自粛。茶道部の活動を知ってもらう機会や発表の場が持てず、もどかしさを感じながら稽古を重ねる時期が続いた。
コロナが落ち着いてきた今年度は、研修会で表千家家元の住まいでもある不審菴を訪れ、建物内の見学や講話を聞くなどして茶道の奥深さに触れた。さらに研修会前日には千利休ゆかりの寺、大徳寺聚光院で千利休の月命日に行われる月釜にも参加し、院内にある千利休の墓を参拝。めったにない機会に恵まれた。
「茶道の良さをより深く知ることができた。普段の茶道とは違った厳かな雰囲気を感じられて刺激になった」と部員たち。この貴重な経験から、部員たちの活動意欲が一層高まった。
11月には地元の伝統的なイベントで初めて呈茶サービスを行う予定があり、稽古にまい進している。向山優部長は「実際にお茶を振る舞うことで成長できるし、より部活が楽しくなる。楽しみながら弥生茶道部の伝統を引き続いでいけたら」。米山美音前部長は「基本的な礼儀作法が身に付くのも茶道の魅力。6人で大変なこともあると思うけど先生と協力してこれからの茶道部を盛り上げていってほしい」と願った。
春宮さんは「時代の流れで部員が少なくなってきた。茶道は日常で役立つこともいっぱいある。長く続けて、日本古来の伝統文化を継承していってもらいたい」と期待。顧問は「今いる子たちがやりたいことをとことん追求して、輝けるように応援したい」と話した。