2023年9月6日付
関東大震災から100年を迎えた今年、発生日の9月1日を中心に震災を取り上げるニュースが新聞やテレビなどで流された。その中で多かったニュースの一つが、うわさやデマに関する話である▼「朝鮮人が井戸の水に毒を入れた」といった根拠のない情報が流れ、それを信じた人によって朝鮮半島出身者が殺害されるなどした。また、驚いたことに今で言う「フェイク画像」が当時からあったという。混乱するさなか、群集心理につけこんだ行為にどう冷静に対応するか。難しさを感じる▼1年半を超えたロシアのウクライナ侵攻。偽情報で相手をかく乱するなど情報戦も激しいと報じられている。インターネットが普及する今、偽情報の巧妙さは論をまたない▼うわさやデマに惑わされないためにどうしたらよいか。できる限り現場に足を運ぶ、本を読んで知識を得るなど手段はいろいろある。人を介する中で話に尾ひれがつき、不正確な内容になって伝わってしまった経験をした人もいるはず。年代を問わず情報リテラシー教育の重要性が増す▼デマへの対応とは異なるが、自分の頭で考えるという点で言うなら選挙も好機だ。複数の候補が立候補したなら、公約を比較してどんな政策がまちづくりに必要かを判断して、実際に達成したか点検する。物事を相対的に考える習慣を身に付けることが、緊急時の混乱を少なくすることにつながるだろう。