一斗缶で「ちりとり」 西澤さん、技術伝える

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30年間にわたり、一斗缶でちりとりを作ってきた西澤さん(右)。今後は若い世代に技術を伝えていく

長年にわたり、使用済みの一斗缶から「ちりとり」を手作りしてきた下諏訪町社東町の西澤敏文さん(90)は、町社会福祉協議会の依頼を受けて、ちりとり作りの技術を次世代に伝える取り組みを始めた。4日には町社協が運営する「コミュニティスペースにこっと」で講座が開かれ、5人が参加。西澤さんは「参加者が自ら作ることができるようになってくれたら」と、技術を伝える役割に意欲を見せている。

左官職人で、60代から空いた時間を活用してちりとり作りを始めた。これまでに作った数は700~800個にも上るという。自宅の倉庫に入り切らなくなり、地元の下諏訪南小学校や下諏訪北小学校に寄贈したのをきっかけに、県内各地の小学校に出向き、10個ずつ寄贈を続けた。軽トラに100個のちりとりを積んで、地図を見ながら小学校を巡った。学校から感謝され、後日、礼状をもらったこともあったという。

作り方は、スチール製の一斗缶を電動のこぎりで半分に切り、形を整えた後、切り口に竹を巻いて針金で固定して完成。一斗缶から2個のちりとりができる。ちりとりは社協の冬のバザーで販売する予定だ。参加した諏訪市の男性(43)は「貴重な体験。西澤さんのちりとりは手作りの味があり、温かい人柄を感じる」と、熱心に習っていた。

「好きで作ってきた。誰かに使ってもらえたらうれしい」との思いで続けてきた西澤さん。昨年5月に運転免許を返納したため、材料集めができなくなり、ちりとり作りをやめることにした。これを知った社協職員から「技術を教えてほしい」と依頼された。西澤さんはこの日、技術を学びたい人が集まったことにうれしさをにじませながら、熱心に作り方を伝えていた。

社協では今後も定期的にちりとり作りの講座を開いていく。問い合わせは「にこっと」(平日午前10時~午後3時、電話0266・27・1703)へ。

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