中世の下諏訪に注目 諏訪湖博物館で企画展

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当時の高級品として注目される古瀬戸系四耳壺なども並べた企画展=下諏訪町の諏訪湖博物館・赤彦記念館

下諏訪町の諏訪湖博物館・赤彦記念館は9日から、企画展「しもすわ鎌倉物語~きよしと見ゆる『かわらけ』の里」を同館で開く。町制施行130周年企画展。文献史料が少ないため、これまであまりスポットが当てられてこなかった同町の中世の歴史に注目した。30年にわたる発掘調査で出土した土器や陶器、和鏡などの遺物を初めて一堂に並べ、町の中世の暮らしに迫る。11月19日まで。

今回紹介する主な遺跡は、諏訪の歴史文化の中心である諏訪大社の「春宮境内遺跡」「秋宮境内遺跡」、中世諏訪社の大祝の居館「神殿遺跡」、秋宮と深い関係のある「武居遺跡」、霧ケ峰にある中世の大祭祀場「旧御射山遺跡」、中世の寺院跡と集石墓群が発見された「殿村・東照寺此遺跡」、庶民の生活の場である町屋とみられる「四王前田遺跡」など。遺跡ごとに特徴ある遺物が並び、人々の暮らしが感じられる。

今展では、とりわけ「かわらけ」を多数展示。平安時代の清少納言は「枕草子」の中でかわらけを「きよしと見ゆるもの」と表現しており、当時は儀礼の場面で一度しか使わない”清浄な器”だったという。中世の下諏訪で、かわらけがどのように用いられていたのかが今後の研究テーマとなる。武居遺跡のものはサイズが大きいなど遺跡ごとに特徴が見られ、同館の宮坂清館長は「ローカルなもので、狭い範囲でしか流通しなかった」と指摘する。

漁の網に付ける重り「土錘」も各遺跡から出土しており、諏訪湖での漁が盛んだったことがうかがえる。同町高木に位置する殿村・東照寺此遺跡からは貝塚が出土しており、諏訪湖で捕れたタニシやカワニナなどが食べられていたことが分かる。

また、東照寺此遺跡からは鎌倉初期に作られた古瀬戸系四耳壺数点も見つかっている。愛知県方面から馬で運ばれてきたとみられる高級品陶器といい、「貴重なもの。かなり古くから下諏訪にいい品物が入ってきていたことが分かる」(宮坂館長)という。

発掘調査に長年携わり、企画展を担当した宮坂館長は「文献は残っていないが、中世の遺物はこれだけいろんなものがある。遺物を見て、歴史をイメージしてほしい」と話している。

24日と10月15日(どちらも 1.午前11時~ 2.午後2時~)は、宮坂館長によるギャラリートークを行う。参加費は入館料(350円)のみ。

月曜と祝日の翌日は休館。問い合わせは同館(電話0266・27・1627)へ。

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