9.24岡谷市長選① 岡谷駅周辺の再開発
任期満了に伴う岡谷市長選は17日の告示まで2週間を切った。これまでに現職で4期目の今井竜五氏(71)=無所属、今井=が今期限りでの引退を表明。いずれも無所属新人で前市議の武井友則氏(31)=川岸中=、中島保明氏(65)=川岸中=、早出一真氏(51)=長地出早=の3人が立候補を予定している。日本の近代化を支えた「シルク岡谷」の伝統を継承し、基幹産業である製造業の技術を発信する岡谷市。一方で、人口減少や観光振興の取り組み、教育環境の整備、防災・減災対策、にぎわいの創出など課題は山積する。持続可能なまちづくりを進めるため、未来への糸口を探った。
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建物の権利一本化のめどが立ったララオカヤ。跡地利用の方向性にも注目が集まる
今年5月、岡谷市は廃止の方針を示しているJR岡谷駅前の再開発ビル「ララオカヤ」について、建物の全権利取得に向けた売買契約を全て締結したと市議会全員協議会で報告した。今年度中には権利を市に一本化できる見込み。廃止の方針決定から約4年。かねて動向が注目されていた事業が一歩前進した。
ララオカヤは市が市街地再開発事業で約47億円をかけて整備し、1984(昭和59)年にオープンした。当初は多くの客でにぎわったが、キーテナントが相次ぎ撤退。建物の老朽化が進む中で今後の在り方を検討した市は2019年、大規模改修は投資に見合う整備効果が期待できない点や年間維持費が高額なことを理由に施設を廃止し、取り壊す方針を示した。以降、土地と建物の全権利取得に向けて地権者と話し合いを進めてきた。
当初は権利一本化後すぐの建物解体を計画していたが、昨年度に実施した調査で建物の塗料や成形板などにアスベスト(石綿)が含まれていることが判明。アスベスト除去を含めた解体費用は約15億円に上り、特定財源の確保が必要な状況となっている。解体には1年半~2年半の工期がかかり、解体時期は未定だ。
建物解体後の跡地利用について市企画政策部は「岡谷市の玄関口としての機能を持つ大変重要な土地。中長期的な視点に立って考えたい」と説明。現在は駐車場となっている駅南側を含めた駅周辺の一体的な整備、在り方を協議していく考えで、「市民に案を示し、意見を聞きながら取り組んでいきたい」と話す。
駅近くで飲食店を営む女性(58)は「今の駅前は寂しいね。昔はララオカヤの従業員さんがよく店に来てくれた」と懐かしむ。駅周辺の整備については「岡谷の第一印象が決まる。お金をかけなくてもいいので魅力的な場所にしてほしい」と期待を込める。
市は「駅周辺のまちづくりについては将来を見据えて慎重に考えたい。最終的には新市長の意向を踏まえて判断することになる。できる限り早く対応したい」とする。岡谷市の玄関口の再生をどう描くか。ララオカヤの跡地利用の方向性は、今後の市政運営の大きなテーマになりそうだ。