諏訪市の内水排除ポンプ 3カ所でIoT活用

内水排除ポンプ施設にセンサーを設置し、システムの稼働状況を確認する市職員ら=7月24日、諏訪市神戸
諏訪市は、大雨時の冠水防止のために設置している同市四賀と清水の内水排除ポンプ施設3カ所に遠隔監視システムを導入した。IoT(モノのインターネット)を活用した市内初の試みで、市職員や地元区長がスマートフォンで冠水の有無やポンプの稼働状況を把握できるようになる。市は「異常運転からの早期復旧や浸水被害の軽減が期待できる」としている。
諏訪盆地に降った雨が集まる同市では、豪雨で諏訪湖の水位が上昇した際、水路や下水道があふれる内水氾濫が各地で発生する。内水排除ポンプは、道路などにあふれ出す内水を強制的に河川へ排出する施設で、市は市街地や河川流域を中心に市内45カ所に計60基を設置している。
システムは、冠水しやすく懸念の声が上がっていた同市清水の諏訪中学校横(排水量毎分44立方メートル)と競馬場踏切横(同60立方メートル)、同市神戸の四賀国道歩道橋脇(同30立方メートル)に導入した。中部電力パワーグリッド(名古屋市)のシステムを採用。冠水の有無とポンプの運転と停止をセンサーで感知し、防災関係部署の市職員と地元区長・代表者にメールやライン(LINE)で配信する。
ポンプはいずれも一定の水位に達すると自動で運転を開始するが、稼働状況は現場で確認する必要があった。システムの導入で「冠水しているのにポンプが動かない」「ポンプが動いているのに冠水が解消しない」といった異常を把握できるようになり、早期の対応や被害の軽減につなげることが可能になる。現場に赴く市職員や区役員の安全性も向上するという。
システムは8月から運用を開始した。雨が降った9月8日は1カ所のポンプから計20回にわたって運転の情報が入り、市建設課の担当者が手応えを感じていた。今年度のシステム導入費は約60万円。通信費などのランニングコストは年約10万円という。市は来年度以降も必要に応じてシステムを導入し、ポンプの機能改善を進めるとしている。