9.24岡谷市長選② 教育環境の整備

大規模改修に合わせて、幼保小中の連携による新たな学び舎「川岸学園構想」が計画されている川岸小学校
岡谷市が昨年11月に示した保育園整備計画中期計画の素案は、川岸地区を中心とした市内西部地区の4保育園(成田、つるみね、川岸、夏明)の集約化を図る内容。12月には市教育委員会が、老朽化が進む川岸小学校の大規模改修に合わせて、隣接する岡谷西部中学校と施設一体型の「小中一貫教育(義務教育学校)」に移行する方針を明らかにした。市と市教委は地域特性を生かした幼保小中の新たな学び舎(や)の創出を目的に「川岸学園構想」を打ち出した。
市内の14歳以下の子どもの数は2020年で約5400人だが、市の将来推計では30年に約7割、40年には6割程度まで減少すると予想。施設の老朽化も進み、保育園や学校施設は将来を見据えた施設規模の適正化が課題となっている。市教委は18年に「市魅力と活力ある学校づくり推進プラン」(ハード整備版)を策定し、学校施設の長寿命化を基本とする改修を推進。市も12年に策定した保育園整備計画に基づき、公立保育園の整備、適正配置を進めている。
川岸小学校の校地内に併設する新園は市内初の「公立幼保連携型認定こども園」とする方針で、0~15歳の一貫したカリキュラムは「全国に先駆けた取り組み」という。一貫した学びの連続性により学校の生活や学習になじめない「小1プロブレム」の解消、異年齢との関わり、地域との一体感の醸成などが期待できる。また、両校は市内で唯一小中学校の敷地が一体という立地にあることから、「地域特性を生かした魅力ある学校づくりにつながる」とする。
保育園整備計画を審議した市子ども・子育て支援審議会の酒井重明会長(66)=信学会東堀こども園長=は「子どもたちを育てる上での新たな可能性だ」と、先進的な取り組みを歓迎。少子化や若い世代の市外への流出が課題となる中で、「積極的に岡谷らしさをつくろうという前向きな計画。未来を担う子どもたちを育てられる岡谷市になってほしい」と期待を込める。
開園は27年度の予定。市子ども課は「川岸学園構想を皮切りに、保育園と学校の連携を促進させたい」とする。ただ、厳しい財政状況の中、整備には長い年月を要する見込み。多様な保育・教育ニーズへの対応は急務となっている。