2023年9月12日付

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けたたましかったセミの声が聞こえなくなり、代わりに秋の虫たちの声が耳をつく。「秋が来たんだ」と実感。これから日本各地で木々が赤や黄色に色づき、楽しい旅の季節がやって来る▼心ときめく旅行だが、江戸時代は基本、庶民が旅をすることは各藩の法で禁止されていた。しかし抜け道があり、治療行為として湯治は黙認され、国を代表する伊勢神宮は庶民も参拝する権利があるとされて、お役所も認めざるを得なかったようだ▼現代は修学旅行に社員旅行、家族旅行や一人旅など身近な娯楽として旅に親しんでいる。日本の旅行はモノ消費(所有の価値)からコト消費(体験の価値)、さらにはその場所、その時にしか得られないトキ消費(参加の価値)へと移り変わり、Z世代には精神的満足度を得るエモ消費が刺さっているようだ▼これまでに行ったことがあるのは、国内の20都道府県。ただ通過しただけの県や仕事も含めてだ。47都道府県の半分にも満たず東北や四国はほぼ未踏。ネットの発達で実際に行かずともその土地を知ることはできるが、その場の空気感は味わえない▼旅は非日常が味わえ、さまざまな価値観が得られ、視野も広がる。人の優しさに触れ、自分を見つめ直す機会にもなる。旅にはいろんな側面があり、魅力がある。しかし日常を忘れて大胆になり、「旅の恥はかき捨て」と、現地でトラブルを起こすのは避けたいものだ。

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