オオワシ「グル」忘れないで 紙芝居を製作

完成した紙芝居を下諏訪町に届けた諏訪湖クラブと福の会のメンバー
諏訪湖の環境改善に取り組む「諏訪湖クラブ」(沖野外輝夫会長)は、長年諏訪湖に飛来し、多くの人に愛された雌のオオワシ「グル」をモデルにした紙芝居「オオワシと鳥きち爺さん」を製作した。未来を担う子どもたちにより一層諏訪湖に親しんでもらおうと、諏訪地方6市町村の保育園や幼稚園、小学校、公立図書館などに寄贈する。
グルは1996年1月、諏訪湖上に落ちて衰弱しているところを保護された。動物病院で治療を受けたがほとんど動くことができなかったグルを、同クラブ会員で現日本野鳥の会諏訪支部名誉支部長の林正敏さん(79)=岡谷市川岸東=が49日間懸命に介護。グルは元気になって飛び立ち、その後、19季連続で諏訪湖に飛来した。
紙芝居製作のきっかけは、諏訪地方を中心に絵手紙教室「福の会」を主宰し、今年4月に亡くなった故・林フク子さん=享年(80)=。グルのファンだった林フク子さんが昨年病気を患い余命を知る中で、グルのことを形に残して後世に伝えたい―と、教室生の有志と一緒に企画。林正敏さんを通して意向を知った同クラブも賛同した。
紙芝居は、鳥好きのおじいさんが諏訪湖で弱っていたオオワシを助け、住民らも「オオワシがすみ付く湖にしよう」と諏訪湖をきれいにしていく物語。文と絵を林正敏さんが手掛け、福の会が構成を担当した。B4判、12ページのカラー印刷で、県の「地域発元気づくり支援金」も活用して120部製作。12日には下諏訪町の宮坂徹町長に届けた。
林正敏さんは「今の子どもたちは生き物との触れ合いから遠ざかっている。紙芝居を通じて、たくさんの命を育む諏訪湖への思いを深めてほしい」と期待。福の会教室生の野村洋子さん(72)=諏訪市中洲=は「フク子先生はグルのことが大好きで、よく諏訪湖に通っていた。子どもたちが少しでも諏訪湖をきれいにしようという気持ちを強くしてくれたら」と話した。