2023年9月14日付
春の統一地方選を終え、6年ぶりに諏訪市の本社勤務となってから半年もたたないうちに、以前お世話になった複数の方々の訃報に接した。悲しみ、喪失感、再会しておきたかったという悔い…。さまざまな感情が渦巻く▼同市のすし店主小平晴勇さんもその1人である。アマチュア落語家「すわこ八福神」と言えばピンとくる方も多いだろう。「すし屋だけにネタを仕入れるのが得意」で、すべっても(笑いが取れなくても)「スケートをしていた。すべるのは特技」と笑いに変えていた▼学校や公民館、福祉施設などでの寄席は2000年秋、生まれ故郷の岡谷市川岸から始めた。当時ガラス張りだった県知事室で披露した一席が反響を呼び、遠方からも依頼が舞い込むようになった。地域や住民を元気にしたいという一心で続けた「笑いの出前」。1カ月で35カ所を回ったこともあった▼千回、2千回の節目の取材に携わらせていただいた。軽妙な語り口とマシンガンのように繰り出されるネタの数々が蘇ってくる。活動制限を余儀なくされたコロナ禍での喪失感は容易に想像できる▼小平さん、2千回達成時にはプロ野球にかけて「(名球会入りの基準の)2千本安打を放った気分」と話されていましたね。どこまで伸ばしたか聞けなかったのが心残りです。少し休んで笑いの出前を再開してください。前人未踏の記録を打ち立てて報告してくださいね。