「らんまん」学者らの交流紹介 諏訪市博物館

牧野富太郎の写真、矢澤米三郎に宛てた書簡が並ぶ会場=諏訪市博物館
諏訪市博物館は13日、NHK連続テレビ小説「らんまん」主人公のモデルとなった植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)と、諏訪市出身の博物学者、矢澤米三郎(1868~1942年)の交流を伝えるギャラリー展を始めた。牧野からの書簡とともに、日本アルプスの高山研究に取り組んだ矢澤の業績を紹介している。11月5日まで。
矢澤は諏訪郡上金子村(現諏訪市中洲)生まれ。松本女子師範学校の初代校長を17年間務めた。北アルプスを中心に高山研究に打ち込み、新種の動植物を発見。ライチョウの研究にも力を注いだ。
牧野は高知県生まれ。「日本植物学の父」と呼ばれ、多数の新種発見、命名を行った。集めた標本は約40万枚とも言われる。
明治時代から昭和初期にかけての資料16点を展示。牧野からの書簡では、矢澤の教え子が発見した新種タカネマンテマの標本を要望。同館は「矢澤を仲介して入手しようとしたのではないか」と話す。
矢澤の自筆の野帳では、1907年に牧野を招き、八ケ岳連峰で開かれた植物採集の講習会について記録。信濃博物学雑誌には、牧野が戸隠山や野尻湖で行った採集、矢澤と並ぶ集合写真が掲載され、植物学を通しての交流が見て取れる。
採集で矢澤が愛用した収納道具「胴乱」を出品。動植物を細密に描写した「動植写生図稿」もあり、観察力や描画力の高さがうかがえる。
同館学芸員の児玉利一さん(38)は「ドラマの影響で牧野や植物学に注目が集まっている。2人の接点を紹介し、諏訪や信州をフィールドに活躍した郷土の偉大な研究者を知ってもらえたら」としている。
関連イベントとして、23日午後1時30分から、学芸員による展示解説を行う。
開館時間は午前9時~午後5時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は高校生以上310円、小中学生150円。問い合わせは同館(電話0266・52・7080)へ。