9.24岡谷市長選⑤〈終〉 観光客増加へ

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観光振興の再構築を進める岡谷市。諏訪湖スマートICの開通に向けて期待が膨らむ

「静か。少し寂しいね」

今月12日、相模原市から観光で県内を訪れた一行は岡谷市内の印象をこう話した。家族4人で中央アルプスの千畳敷カールを満喫し、JRの特急あずさで帰途に就くために岡谷駅に来たのだという。電車の待ち時間に土産を購入しようとしたが、駅前に見えた「ララオカヤ」が閉鎖されていることを知り、別の土産店を探して歩き出した。

かつては製糸業の中心地として日本の近代化を支え、近年は基幹産業である製造業の集積地となっている岡谷市。電車で新宿から2時間30分、名古屋からは2時間10分で移動できるなど都市部からのアクセスは良好だ。高速道路が通り、岡谷インターチェンジ(IC)がある。名産品はウナギ、シルク、みそ…。比較的恵まれた環境、立地条件にありながら、観光客の伸び悩みが課題に挙げられている。

諏訪湖周では諏訪市が温泉地、下諏訪町が宿場町として「滞在型」で栄えてきたのに対し、岡谷市は日帰りなど短い滞在時間で観光客が訪れる「通過型」とされる。市内の観光地は岡谷蚕糸博物館やイルフ童画館、岡谷美術考古館といった文化施設が中心で、「鶴峯公園」や「出早公園」は行楽客でにぎわう季節が限られている。市内の宿泊施設は決して多いとは言えず、”目的地に滞在”するだけとなっているのが現状だ。

「より岡谷に来やすくなる。観光客に訪れてもらう時間を増やしたい」。市商業観光課が期待を抱くのは、今年度内の開通を目指して工事が進む中央道諏訪湖サービスエリア(SA)の諏訪湖スマートICと、湖周サイクリングロードだ。市は昨年度、企業や商業施設を誘致できるよう、スマートICへのアクセス道路が新設される同市湊地区の一部の用途地域を変更。「諏訪の西の玄関口としてにぎわいを創出できる」と、IC開通に合わせて周辺地域の活性化も図りたい考えだ。

ただ、市単独での誘客には限界があるため「広域の連携を密にしてPRに取り組みたい」とする。諏訪地方の各自治体や「塩嶺王城パークライン」で結ぶ塩尻市、辰野町の観光拠点の周遊を促進し、相乗効果で集客力の向上を図る。地域が一体となった観光振興の構築を目指していく。=おわり

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