ソフトにかけた一生 イナ昴の茅原監督引退決意

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伊那市を練習拠点とする女子ソフトボールチーム「イナ昴」を結成し、長年にわたり監督として支え続けている茅原徳子さん(83)=同市山寺=が来年3月に引退すると決めた。チームから母のように親しまれ、県内のソフトボール界へも貢献している。イナ昴は16~19日、全国大会「日本スポーツマスターズ2023」(福井県)に県代表として出場する。約10年ぶりの出場で、茅原さんは「はなむけのよう。みんながついてきてくれたおかげ」と喜ぶ。

茅原さんは中学生のときにソフトボールを始め、伊那弥生ケ丘高校(同市)の女子ソフトボール部に入部した。インターハイに連続出場していた全盛期に1年次から選手として活躍。卒業後は実業団に入った。結婚を機にソフトボールから離れたが、40代で再開した。部活の後輩らに声を掛け、1985年にイナ昴を結成。自身も選手を務め、やがて監督を兼任した。

「一つ、気を付けていたのは、失敗を怒らないこと」と茅原さん。20年以上、監督として、温かな包容力でチームを指導し続けている。

和気あいあいとしたチームで、育児中の選手も子どもを連れて練習に参加した。選手の森本千史さん(50)は「みんなでかわいがってくれ、子育ての悩みも聞いてくれた。家族のようなチーム」と振り返る。息子の侑生さん(23)は自身もソフトボールを始め、国体選手となった。今年4月にイナ昴のコーチに就任し、「ソフトボールを始めるきっかけとなったイナ昴で、自分が学んできたことを生かしたい」と指導に力を注ぐ。

現在は伊那、駒ケ根などの40、50代を中心に18人でチームを構成。以前はマスターズに3年連続で出場したこともあったが、強豪チームの登場で約10年間、全国大会出場まであと一歩で敗退していた。

今年の冬季練習はティーバッティングに力を入れ、週1回の練習で毎回、選手1人100本ずつ打った。茅原さんは全球トスの役目を担った。練習の成果もあり、6月の県大会で優勝し、全国大会出場を決めた。

「ソフトボールにかけた一生」と振り返る茅原さんは「みんな、自分の子どものようで離れ難い存在。よくついてきてくれた。うれしいの一言」と話す。年齢を理由に引退を決めたが、選手の田中由里さん(55)は「監督をやめても元気な限り、ずっとチームに関わってほしい」と慕う。

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