諏訪湖環境研究センター長 高村典子氏内定

会見で諏訪湖環境研究センター(仮称)のセンター長内定の抱負を語る高村氏
県は15日、岡谷市の男女共同参画センター「あいとぴあ」を改修して来年4月の開所を目指している諏訪湖環境研究センター(仮称)のセンター長に、国立環境研究所生物多様性領域客員研究員の高村典子氏(68)を内定したと発表した。これまでの研究実績を踏まえた県内河川・湖沼の水質、生態系の一体的な調査研究の促進などの役割を担う。
高村氏は京都府生まれ。国立環境研究所で生物圏環境部生体機構研究室長、生物・生態系環境研究センター長、琵琶湖分室フェローを経て、2020年から現職。昨年度、県環境審議会第8期諏訪湖水質保全計画策定委員も務めた。15年から環境省中央環境審議会委員。学術博士。
専門は植物プランクトン、陸水生態学、生物多様性保全で、生物多様性と生態系機能の視点に基づく環境影響評価手法の開発、健全な湖沼生態系再生のための新しい呼称管理評価軸の開発などの研究を手掛けてきた。
非常勤の特別職。県は高村氏の役割を、職員の研究指導と育成、国立環境研究所や大学などとの共同研究による先進的な知見の集積や行政政策への反映としている。
15日の知事会見に出席した高村氏は「諏訪湖をはじめとして河川や湖沼の水質や生態系の保全とその再生に当たっては、森、里、川、湖といった水系の連続性を見据え、流域の土地利用などの人間活動や気象変動などとの関係を考察しながら、湖沼や河川の健全性が維持されるよう取り組む必要がある」とし、「新しいセンターでは河川・湖沼の水質と生態系保存に向けての科学的な評価ができるように、これまで調査研究を実施してきた関係機関の協力も得ながら新たな研究活動をしっかり進めていきたい」と抱負を語った。
さらに高村氏は湖周地域の住民に対し、「皆さんの話や要望をしっかり聞くことから始めたい。蓄積されている科学的な知見や知識を伝えながら、諏訪湖をどうしていくか一緒に考えていきたい」と語った。生物多様性保全の専門家として、湖沿岸地域のエゴ(水生植物が豊かな場所)の復活などで「多様な生物が生息できる諏訪湖の環境を目指せれば」と意気込んだ。
阿部守一知事は「諏訪湖の課題は生態系や環境などと密接に関係していくので科学的アプローチが非常に重要」と高村氏の起用の狙いを語り、高村氏について「行政の施策にも精通しているので、大所高所から意見をいけただければありがたい」と期待した。