2023年9月18日付
「日報さんは最近、茅野市の財政が悪い、悪いって書くね」というご意見をいただいた。やんわりと「書きすぎだ」というご助言も。ただ、遠くない将来、基金不足で予算編成ができなくなる推計は市の公式見解。まちの財政に関心を持つにはいい機会だ▼大型事業が重なって財政悪化を招き、76億円の財源不足が生じた。地方債の発行と基金の取り崩しで穴埋めしたが、基金残高はあとわずか。2020年に3度目となる「財政非常事態宣言」をした東京都日野市の当時の状況。非常事態宣言はほかの自治体でも出始めている▼一方で宣言を機に市民が市の財政に目を向け、市民目線で発信する動きも。高校の教師と生徒が市財政を文化祭の会計係の視点に置き換えて物語を展開する漫画は日野市民によるもの。財政のプロの市職員が作った行政資料よりも圧倒的に分かりやすい▼記者研修で自治体財政分析の第一人者、大和田一紘さんの講義を受けた。自分が住む市町村の財政について少し知った人が知らない人に知らせようと作る財政白書が一番分かりやすいと大和田さんは言う▼茅野市によれば「財政危機に陥るにはまだ時間的余裕がある」と。市民目線でわがまちの財政を知り、市民感覚で発信する動きが生まれるか。まずは市側が徹底した情報発信を。市民との対話も必要だ。無論、これは茅野市に限った話ではない。あなたのまちはどうですか?