入笠牧場で牛の下牧 JA上伊那

入笠牧場での放牧が終わり、下牧のためトラックへ連れられる牛
入笠山(1955メートル)に広がるJA上伊那の入笠牧場(伊那市高遠町)で19日、放牧していた牛の下牧作業が行われた。高原の牧場で夏の間、放牧した牛を柵から出して健康状態などを確認。トラックに載せて運び、里の畜産農家のもとへ下ろした。
放牧は、妊娠している牛や妊娠前の育成牛が対象で足腰を鍛えて安産につなげるほか、繁殖期間を延ばす狙いがある。今季は6月中旬に放牧が始まり、上伊那と飯田・下伊那両地域の農家6軒の黒毛の繁殖和種とホルスタインの35頭ほどを受け入れた。
この日はJAや伊那家畜保健衛生所などの職員約20人が柵内から牛を誘導し、健康や衛生チェックをしてトラックに荷入れ。16頭を下牧させ、残りは20日に行う。JA上伊那の木嵜章夫課長(43)は「疾病や事故もなく、牛の状態は良い」。飼料が高騰する中での放牧は「自然の草を食べるので餌代の低減にもつながる」と話した。
放牧牛は最盛期に約200頭いたというが、農家の減少などで数を減らす。牧場の管理を始めて17年の三沢厚さん(75)=同市福島=は、これまでで最も早い時期の下牧になったとし、牛が減った牧場を見て「寂しいなぁ。頭数が年々減っていくのが残念」と話していた。