ミヤマシジミ復活を コマツナギ植栽

ミヤマシジミ復活に向け三峰川堤防にコマツナギを植える関係者
絶滅危惧種のチョウ「ミヤマシジミ」の生息地を取り戻そうと、国土交通省天竜川上流河川事務所は21日、伊那市の天竜川との合流地点にある三峰川堤防に、幼虫の食草コマツナギの苗を植栽した。1年後のミヤマシジミ復活を目指し、保護に取り組む研究会員や同市伊那西小学校の児童が育てた苗約130本を、風雨にさらされながら植えた。
環境省レッドリストで絶滅危惧1B類(近い将来に野生での絶滅の危険性が高い)に指定されるミヤマシジミ。県内で保護活動に取り組む団体や企業でつくるミヤマシジミ研究会によると、かつて河川や田んぼに植わっていた幼虫の唯一の食草コマツナギが河川整備などで刈り取られ、老木化の影響もあって生息数が激減。まとまった数が見られるのは上伊那地域だけになってしまったという。
苗を植えた合流地点でも4年前まで生息。ミヤマシジミの復活を目指す同研究会の働き掛けで、観察のしやすさなどを考慮して同事務所が場所を提案、植栽した。同事務所の若手職員の研修の一環で実施。職員や同研究会などから約20人が参加し、堤防の一角で穴を掘り、研究会の会員や伊那西小3年生が種から育てた苗を入れて、腐葉土などをかぶせて水をやった。
同事務所伊那出張所の刈田晃所長(58)は「河川管理を担う我々にとって象徴的な昆虫。大切にしていきたい」。研究会会長で信州大学名誉教授の中村寛志さん(73)=昆虫生態学、南箕輪村=は「里山を代表するチョウを子どもたちに伝え、環境教育として活用できる場所になれば」と期待した。