微細藻類成長促す 諏理大・雷教授の研究期待

微細藻類の成長を促すウルトラファインバブルの発生装置を紹介する雷教授
公立諏訪東京理科大学(茅野市)機械電気工学科の雷忠教授(54)=流体工学=が取り組む持続可能な航空燃料(SAF)向けの微細藻類培養の研究が県産業振興機構と県の航空機分野向けの研究開発支援事業に採択された。超微細気泡「ウルトラファインバブル」を活用して燃料物質油を生成する藻類の成長を促す。藻類が生成する油はSAFの原料となるため、成長促進効果が確認できれば、燃料の生産性向上が見込める。
航空需要の拡大が見込まれる中、二酸化炭素(CO2)の排出削減による地球温暖化対策は航空業界で大きな課題。藻類が生成する油脂を航空機向けの燃料にするバイオジェット燃料の実用化、量産化に関連する研究開発は近年、活発化している。
藻類は光合成によって成長し、油脂を生成する。藻類を原料とするSAFをジェットエンジンに混ぜることでCO2の排出量を抑えられる。藻類由来のSAFは大豆やトウモロコシなどと違い、食料との競合がない点も注目されている。
藻類の成長促進が期待できるウルトラファインバブルは直径が1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)未満の目に見えない気泡。炭酸水のように目に見える大きな気泡は水面に向かって浮かび上がるが、ウルトラファインバブルは長時間、水中にとどまる特性がある。
独自開発の発生装置を使い、藻類の培養液にナノレベルのCO2を供給して成長を促し、生産期間の短縮と生産量の向上を目指す。同技術を用いた水耕栽培の研究結果では普通の水と比べ、植物成長促進効果が確認されており、藻類でも同様の効果が期待できる。
雷教授は「ウルトラファインバブルの技術で微細藻類の成長を促し、SAFの生産性向上に貢献したい」と話している。