アホウドリ復活への道 佐藤さんが記念講演

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日本野鳥の会諏訪支部(林正敏支部長)は18日、創立60周年記念講演会を下諏訪町の下諏訪文化センターで開いた。講師は山階鳥類研究所研究員でアホウドリの個体数回復、営巣地分散に取り組んでいる佐藤文男さん。羽毛採取のために大量に殺し、絶滅寸前まで減少したアホウドリの復活に向けた研究成果を報告した。佐藤さんが一般を対象に講演するのは県内では初めて。約170人が耳を傾けた。

アホウドリは日本近海に生息していた海鳥で乱獲前は推定1000万羽いたという。明治時代に羽毛採取が組織的に行われ、布団や枕の材料になり、世界に輸出され、日本の近代化を支えた。第2次世界大戦後の1949年にはいわゆる「絶滅宣言」があったが、51年に伊豆諸島の鳥島で10羽ほどが確認された。76年に海鳥の研究をしていた長谷川博さんが保護活動を開始。本物そっくりの模型(デコイ)を営巣に適した場所に置いて、営巣条件が厳しい場所にいる若いつがいを呼び寄せ、個体数の回復を促す「デコイ作戦」がスタートした。

佐藤さんは長谷川さんと共同で同作戦の準備段階から研究に携わった。92年に設置すると、93年には引き付け効果があり、96年には早くも模型の近くで繁殖活動やひなの巣立ちが確認された。しかし、その後8年間にわたりつがいが1組のまま増えない状況が続いた。2004年に4組のつがいが確認されると、徐々に繁殖数は増え、現在は鳥島に約4000羽が生息しているという。

一方、釣り針やプラスチックの漂流ごみの誤食で死亡する例が続いており「人間によって絶滅の渕まで追い込まれたアホウドリを人のごみを捨てるという行為によって死なせている」と指摘した。

もう一つの保全作戦は、繁殖地を鳥島から小笠原諸島に移す計画。鳥島は火山島のため噴火が起きた場合、一気に絶滅する可能性がある。08~12年に計70羽のひなを移送し、69羽が巣立った。これまでに15羽は鳥島に戻り、小笠原は8羽。「繁殖地を移す計画が成功するかどうかはここ数年が正念場」と語った。

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