父思う読者投稿の詩 不思議な縁で”歌”に

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埼玉県に住む人が作曲した「父の日に寄せて」の楽譜を手にする詩の作者の篠原和子さん

長野日報の読者文芸に掲載された詩に心を動かされた埼玉県に住む人が曲を付け、詩を作った女性の元に届けられた。6月13日付に掲載された詩「父の日に寄せて」には遠い日に他界した父への思いがつづられていた。女性は思わぬ形で詩が”歌”になり、「趣味で書いていたものが遠くの方を感動させ、歌まで付けてもらい夢のよう」と不思議な縁に驚き、感動している。

詩の投稿者は茅野市塚原の篠原和子さん(84)。幼少期は詩や作文を書いて過ごすことが多かったといい、学生時代から大人になっても作詩を続けた。テレビ番組の視聴者投稿コーナーでの入選やプロの歌手の曲に詞が採用された経験も。近年は長年続けた日本舞踊の講師に力を入れていたことで遠ざかっていたが、腰の手術を機に今年2月から詩の創作を再開した。

厳格ながらも深い愛情を注いでくれた父親の故一栄さんの看病をしながら病室で書いた詩を基に作ったという「父の日に寄せて」。脳出血で会話ができなくなった父をしのび、「声をなくしたお父さん 呼んでください もう一度」と最期に父と話したかった後悔の念を込めた。一方で、「立派でしたよ お父さん」「きっと教えは 守ります」など感謝の思いも伝え、「私はあなたの娘です」の一節で締めくくっている。

8月末、この詩のために作曲した経緯の説明と曲の五線譜をしたためた手紙が長野日報社に郵送で届いた。差出人は匿名で家族からの贈り物の包み紙として入っていた新聞に掲載された詩が偶然目に入ったという。手紙には「思わず口ずさんだ」「作者の方は歌ってくださるかしら」などと書かれていた。

手紙は9月上旬に篠原さんに届けられた。かみしめるよう丁寧に手紙を読んで添えられた楽譜を手にした篠原さんは「楽器のできる友達に演奏してもらって聴いてみたい。きっときれいな曲ですね」と笑みを浮かべた。

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