下諏訪南小校章レリーフ 半世紀前の輝き戻る

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赤羽洋一さん(右)の手で修復された下諏訪南小の校章レリーフ

下諏訪町の下諏訪南小学校の1975(昭和50)年度の6年生が卒業記念に同校へ贈った校章のレリーフが七宝工芸家、赤羽洋一さん(61)=諏訪市中洲神宮寺=の手で修復された。破損箇所を直し、ガラスと銅板の輝きを取り戻して25日、同校に戻った。

レリーフは50センチ四方で厚さ約1・5ミリの銅板を打ち出すように成形し、七宝焼きで仕上げてある。近年は学校玄関ロビーに飾っていたが、部分的に欠けたり、白い塗料がかかり汚れたりしていた。

同校の校章は同年12月に学校創立5周年を記念して制定された。当時、図画工作担当の村田宏次教諭が図案化を手掛け、カジの葉を集めて「大」の字形に配し、児童の団結と大きく手を広げて伸び伸びと成長する姿を表現している。レリーフは校章が誕生した頃の品となる。状態などから旧校舎の時代には長らく昇降口外壁に掲げられて同校の”顔”だったのでは―とされる。

赤羽さんは同校で特別支援学級支援員を務めていてレリーフの劣化が目に留まり、修復を申し出た。欠損部分を特殊な技法で再現し、白い塗料をはがして磨き直した。50年近い年月を隔てる本来の色、質感と同様に仕上げるのには細心の注意が要り、やり直しも重ねたという。

赤羽さんは「この校章は何万人もの子どもを見つめてきたのだと感じ入りながら作業をした。自身の技術を磨く機会にもなった」といい、「諏訪に根付く日本の伝統工芸を子どもたちに知ってもらえたら」と期待を込める。

田中直紀校長は「まるで新品のような輝き」と驚き、深く感謝。早速、校内で披露すると、子どもたちがしっとりと重厚な手触りを珍しがって味わっていた。

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