2023年9月28日付
県内の文化機関などの所蔵資料をデジタル化してウェブに掲載している「信州デジタルコモンズ」で、県が1955(昭和30)年に制作した記録映像「県政ニュース」が3本公開され、誰でも見られるようになっている▼第3巻は「県財政の現況について」がトップニュース。県財政は当時もなかなか厳しく、人件費の節約や機構改革などで赤字を減らす取り組みを伝えているが、その後は、「大豊作みのりの秋」「賑わう県展」「復元した松本城」と明るい話題が続く▼県美術展の映像は20秒ほどだが、子どもから大人まで多くの人が訪れて楽しんでいる様子が分かる。今年も75回目の県展が開催中だ。10月1日までは長野市の県立美術館、8日から15日までは飯田市美術博物館が会場になる▼県立美術館での主な展示場所になっている「しなのギャラリー」は少々手狭なのが残念だ。受賞作品や受賞候補作品などのほかは主に北信、上小、佐久、中信地区の作品に絞って展示している。諏訪、伊那、飯田地区の作品は飯田市で紹介されることになっている▼県内の作家には貴重な晴れの場なのだから、全部の作品を一度に披露できる場所があればと願うのが人情だ。県民が多様な美術に親しむ機会をつくるのも美術館の役割だろう。せっかくぴかぴかに改築されたばかりの県立美術館。次回は館内のもっと広い場所を使わせてもらえたら-と期待している。