フルーツトマトの摘み取り体験農園誕生 箕輪

移住先の箕輪町下古田の農場で多彩なフルーツトマトを育てている山川正信さん
箕輪町下古田に、糖度が高めのトマト・フルーツトマトの摘み取り体験ができる農園「ゆかいな野菜村」が誕生した。鮮やかな赤色から、チョコレート色や緑色といった変わり種まで多種多彩。品種数は30余で、「知る限りでは、国内で一番種類が多いのでは」と、運営する町地域おこし協力隊の山川正信さん(59)。現在、農場全体を整備中で、任期終了後にはカフェや農産物加工施設なども設けて本格稼働させ、さまざまな人が集う交流拠点にしたい考えだ。
■地域おこし協力隊 山川正信さん運営
協力隊2年目の今年、民家と農地を購入し、下古田に転居。標高約800メートルの高台に位置する風通しが良い場所で、トマト栽培にぴったりだ。農地50アールのうち、約40種が植わるトマト畑の広さは3アールほど。大半がフルーツトマトで、赤い実に緑のしま模様が入ったブラッディータイガー、焦げ茶系のチョコアイコ、濃厚な甘味のピッコラカナリアなどがずらり。多彩な見た目や味が、来園者の心をくすぐる。「品種数をある程度抑えないと手入れしづらくなるが、新品種が出ると、つい育ててみたくなる」と茶目っ気たっぷりに笑う。
農薬や化学肥料の使用をできる限り控え、育ててきた。今季は平年に比べ日照時間が長く降水量は少なめだったことなどから、栽培歴約25年の中で「過去最高のおいしいトマトができた」と胸を張る。「寒暖差があり、からっとした上伊那の風土」がトマト栽培に適しており、「移住して良かった」との思いをかみしめる。
■新天地で目指す 小規模な観光農園
神奈川県出身。飲食店勤務を経て移住した山形県で、一から農業を開始。トマトや果樹などを栽培し、耕作面積を2.5ヘクタールにまで拡大、カフェや農産物加工品も手掛けた。しかし、5年前に脳卒中で倒れ、左半身まひの後遺症が残った。農作業が困難になって神奈川に戻り、気力が湧かない日々を過ごした。
再び農ある暮らしを求めて新天地に選んだのが箕輪町。昨年、地域おこし協力隊に着任し農作業を再開した。細かな手作業や高所での作業などを妻のみゆきさん(65)ら家族に協力してもらうことで、収穫にこぎつけ、今後への手応えを感じた。
目指すのはトマトやブルーベリーの摘み取り体験ができ、トマト料理やジュースなどを提供する、小規模な観光農園。「今までは生活のための農業だった。今後は人と触れ合い、人生を楽しめる農業がしたい」と目を輝かせる。
摘み取り体験は今月末までで事前予約制。午前9時~正午。入園料は大人200円。摘み取ったトマトを購入する方式で、料金は100グラムにつき150円。問い合わせはみゆきさん(電話090・2025・6547)へ。