2023年9月29日付
駒ケ根市の駒ケ根青年海外協力隊訓練所は、開発途上国を支援するボランティアを養成する施設。1979年に開設後、これまでに約2万1300人の隊員が巣立ち、世界の人々を助けてきた▼隊員を住民レベルで支援する「協力隊を育てる会」は全国各地にあり、長野県には県と駒ケ根市に二つの組織が存在する。「駒ケ根協力隊を育てる会」は83年に設立し、現在の会員数は424人。全国の育てる会の中で最大規模だ▼会員の隊員に対する思いはことのほか強く、訓練所を巣立つ全隊員に、中央アルプスをデザインした手ぬぐいなどを贈るほか、赴任した隊員の支援や市民に向けた国際交流イベントも行う。その功績で、今年度の外務大臣表彰を受けた▼近年、外務省のOBや歴代の訓練所長が、駒ケ根市へ移住定住する傾向にある。すでに2人が定住し、今後2人が移住する。4人とも出身は他県。世界各国で暮らした経験がある目の肥えた人たちだ。4人とも移住の理由に「上伊那の人の心の温かさ」を挙げる▼外務省OBの男性は「互いの邪魔にならず、ニコニコし合って長いお付き合いのできる人との距離感が心地いい」と言った。この移住傾向を駒ケ根市長は「市民の皆さんのホスピタリティー(親切心)のたまもの。無形の財産」といい、歓迎する。長年の協力隊を思う気持ちが、こうした場面で開花した。人の優しさは人の心を動かす。