登戸研究所の歴史や概要 研究会が書籍初出版

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登戸研究所調査研究会が出版した初の書籍「信州伊那谷に来た謀略機関」

太平洋戦争末期に上伊那地方へ疎開した旧陸軍の謀略機関・陸軍登戸研究所について調査研究をする住民有志の会「登戸研究所調査研究会」は、結成5周年を記念した初の書籍「信州伊那谷に来た謀略機関」を自費出版した。これまでの研究成果を整理して共有し、歴史を次世代へつなぎたい―との思いを込め、研究所の歴史や概要、残された資料から判明した疎開の実態などを紹介している。

同研究所は戦時中、神奈川県川崎市でスパイ活動や破壊工作を秘密裏に研究。本土決戦に備え、1945年に一部が上伊那地方に疎開した。

調査研究会は、研究所に関する調査研究を進めることで地域の財産や歴史の教訓として後世に残そうと、2018年5月に発足。戦争体験者への聞き取りや現地調査、学習会、展示活動などを行っている。

今回の書籍は会員14人で執筆した。研究所が上伊那地方に疎開した理由や研究内容、証拠隠滅の方法などについて、写真や地図を取り入れながら分かりやすく説明。駒ケ根市立博物館に保管されている行政文書や遊撃戦の実態を示す指南書、残された物的証拠をもとに考察し、当時の住民たちの証言を交えながらまとめた。

赤穂高校(同市)平和ゼミナールの生徒たちの活動記録や今年5月に開いた記念シンポジウムの報告のほか、常設展示の必要性など研究会としての今後の課題についても触れている。

松久芳樹事務局長は「さまざまな視点から読みやすくまとめられている」とし、「これまで研究所のことを知らなかった人にもぜひ読んでもらいたい」と呼び掛けている。

A5判、200ページ。原則として直接販売で、価格は税込み1500円。問い合わせは松久さん(電話090・8365・5034、メールm_yoshiki@cek.ne.jp)へ。

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