光前寺は日本の宝 駒ケ根で名勝庭園シンポ

駒ケ根市の光前寺の価値に理解を深めたシンポジウム=同市赤穂公民館
駒ケ根市の光前寺や市教育委員会などは9月30日、境内全域が国の名勝庭園に指定されている同寺の価値に理解を深める「凄いぞ!名勝光前寺庭園~受け継がれる光前寺の魅力」を同市赤穂公民館で開いた。歴史建造物や植物の各専門家4人が講演。860年開山の古刹を地域の宝として再認識し、寺の整備活用を進める機運の醸成を図った。
同寺は天台宗信濃五ケ寺の一つに数えられる天台宗別格本山。1967年、本堂前庭や本坊客殿奥の庭園、仁王門から三門、本堂へと真っすぐに続く建造物の配置、それらを囲む境内林など約6.7ヘクタールが名勝庭園に指定された。
シンポジウムは、2011年策定の第1期整備計画に基づき14年度に始めた境内の修復、改修などの事業が昨年度終了したのを受け、事業報告を兼ねて企画した。同寺の吉澤道人住職はあいさつで「平安時代に開かれた長い歴史を持つ寺。一千年先まで守り続けていくために皆さんの協力が必要。シンポジウムを通して光前寺の魅力を確認していただきたい」と呼び掛けた。
講師はいずれも名勝光前寺庭園整備活用委員会委員。県立歴史館特別館長の笹本正治さんは「光前寺と水の信仰」と題し講話。阿弥陀三尊に見立てた中央アルプスの山並みを背にする本堂の配置から考えられる山への信仰、雨乞いに用いたと伝わる同寺の青獅子から見た水への信仰などを説き、「日本人の水、山、岩への信仰を考える際、光前寺なくしては理解できないだろう。光前寺は日本の宝。みんなでもう一度、光前寺について学びたい」と話していた。