2023年10月3日付
新聞が取り持つ縁。そう感じさせる出来事が2件あった▼一つ目は、茅野市の80代の女性が小紙読者文芸に投稿された詩がきっかけだ。埼玉県在住の人が、親族から届いた贈り物の底に敷かれた長野日報に載ったこの詩を偶然読んだ。題名は「父の日に寄せて」。自身の両親に思いを重ねたのだろうか。詩にメロディーを付けて五線譜にしたため郵送してくれた▼手紙は本社を経て茅野市の女性の元へ。この経過をまとめた小紙統合版の記事によると、女性は「趣味で書いていたものが遠くの方を感動させ、歌まで付けてもらい夢のよう」とある。2人をつなぐために、新聞が役割を果たしたのであれば、携わる者としてうれしい▼もう一つは、私が小欄で紹介した交通安全に関するコラムに関し、下伊那郡松川町の男性から問い合わせをいただいた。関連資料を送ると、先日丁重な返事をもらった。男性によると、地元新聞店で長年配達業務に携わっていたという。交通安全協会の活動に携わり、悲惨な事故が減ることを願って日夜励んでいる―と書かれていた。農業の傍ら、地道な活動を続けていると知って感動した▼日々の記事がどう読まれているかは、直接問い合わせをいただかない限り、具体的に知ることはあまりない。一つ一つの記事が見ず知らずの人の気持ちを動かしたり、そのきっかけになったりする。新聞の原点に改めて触れた思いがした。