ピアノ”名器”利用して 諏訪市文化センター

36年前に諏訪市へ寄贈されたベーゼンドルファー社製のインペリアル。コンサートを前に弾き込みをして音出しをする安藤美季さん(右)=諏訪市文化センター
ピアノの名器といわれるオーストリアのベーゼンドルファー社製の「インペリアル」が、諏訪市文化センターにある。36年前、同市に寄贈され多くの人たちが活用、地域に音楽愛好者の輪が広がった。近年は利用されることが少なく、収納庫で眠っていることが多い。同市音楽協会(百瀬篤代表理事)は「名器の存在を改めて知ってもらい、使ってもらうきっかけになれば」とコンサートを企画。15日の演奏を前に、集中的に弾き込みをしている。
ピアノの寄贈は、音楽教育家として活躍した故野村ともさんが「諏訪市にちゃんとしたピアノがほしい」と、同市四賀出身で外食産業すかいらーくを創業した横川端さんに依頼。数日後、横川さん兄弟4人から贈られることが決まった。
ピアノの選定は、ともさんの長女で東京藝術大学講師を務めたピアニストの野村眞理さんと、眞理さんの師・パウル・バドゥラ=スコダさんが行い、97鍵を備え、長さ2・9メートル、幅1・68メートル、重さ480キロの最高級器(1380万円)を選んだ。
1987年(昭和62)、当時の同市駅前市民会館に設置、幼児からプロの演奏家に至るまで、愛用された。2009年には大規模な修繕を行い、修繕後は交代して演奏をつなぐ「ピアノマラソン」、同館閉館に際しては聴衆もステージに上がって聴く試みもした。その後ピアノは文化センターに移り、”出番”が徐々に少なくなった。
百瀬代表理事は、「ピアノは生き物。時々音を出さないと、名器本来の音が失せてしまう」と、近年の状況を危惧、同協会は演奏会を企画した。長年演奏活動を続け、同ピアノを知り尽くす安藤美季さんが弾き込みを行い、「低音は出てきたが、高音はほしい音色がまだ出ていない」「当日までにはできるだけ良い状況に持ち込みたい」としている。
こうした経過を知った野村さんは「音楽にも造詣深い横川さんが当時、気持ちよく寄贈してくださった。諏訪は音楽の好きな人が多い街と思っている。これからさらに活用されることを願っている」と寄せた。
コンサートは午後2時開演、同センターステージ。演奏は安藤さん。入場料2500円。チケット、問い合わせは同協会事務局(電話0266・53・2070)へ。