2023年10月11日付

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昭和の生まれで、幼少期は商店街がデパートだった。岡谷の中央通りには玩具店や菓子店、文房具店があり、少し歩けば、おやつにぴったりのじまん焼き、二つの映画館等々。噴水がある広場で一休みし、駅前模型店のショーウインドーを眺めるのが楽しみだった▼歩行者天国の日が近づくと少し前からわくわくしたものである。既に車社会で一時的な路上駐車も日常の風景だったから、この日ばかりは「子ども天国」と街に繰り出したのを覚えている▼コロナが5類に移行し、歩行者天国が戻ってきた。諏訪市の末広商店街は七夕祭りに続き、先月は市の社会実験でホコ天となった。通りや駐車場に人工芝、テーブル、いすを配して遊びとくつろぎの場を創出。多世代交流の場にもなった▼道路は身近な公共空間である。ホコ天はもともと海外で子どもが路上で伸び伸び遊べるようにと始まった。実験では人工芝に遊具や玩具を置き、路面へのチョーク落書きや路上でのシャボン玉飛ばしもできるように。こうした非日常体験も親子に喜ばれた▼廃業を決断した店がある一方、個性豊かな店が開業して新たな風を吹き込む。末広・小和田界隈は日常でも街歩きする人が増えた。先日、青春時代思い出の喫茶トミー(末広)のパフェを食べた後に街を歩いたが、車の移動では気づかない店舗や路地に出合った。非日常のホコ天から日常の街歩きにつながればいい。

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