江戸めし給食、200年前の味 高遠の小中学校

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高遠を訪れた伊能忠敬へ提供された食事を再現した給食を頬張る高遠中学校の生徒たち

伊那市教育委員会は10日、江戸時代の測量家、伊能忠敬(1745~1818年)が現在の同市高遠町を訪れた際に出た食事を”再現”した「江戸めし給食」を、高遠町の3小中学校約360人に提供した。郷土の歴史に関心を-と企画し考案した献立で、子どもたちは約200年前に思いをはせながら頬張った。

給食の献立は、1811(文化8)年に忠敬が測量で滞在した際の食事を記した古文書をもとにした。1、柚で香りづけした紅鮭の幽庵焼き 2、みそベースの南瓜すいとん 3、野菜の酢味噌あえ 4、野沢菜の菜飯-の4品。市地域おこし協力隊の前田和弘さん(47)らが再現した。

当時あった料理や調味料を調べて再現した「江戸めし給食」

高遠中では「タイムスリップした気持ちでいただきましょう」と校内放送が流れ、生徒たちが黙々と味わった。「こんなにもおいしいとは」と話す生徒もいて次々とおかわり。1年の生徒(13)は「江戸時代の偉人と同じものが食べられるなんて不思議。昔のご飯はこんな感じだったんだ」と笑顔だった。

給食の提供にこぎ着けるまでには苦労があった。古文書に書かれていたのは主に材料だけで「何より味が分からなかった」と前田さん。同じ隊員で板前の川井涼子さん(29)らの協力を受け、江戸時代の文献を参考に当時あった料理や調味料を調べ、味を想像しながらメニューを考えた。

おいしそうに頬張る生徒を見守った前田さんは「他の学校にも広げたい思いが強くなった。歴史ある高遠を掘り起こすと面白いものが出てくる。子どもたちにもよいきっかけになれば」と期待。川井さんは「食べやすいよう工夫し、彩りも意識した。喜んでくれてうれしい」と話した。

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