飯山市でクマ被害 県が緊急の対策会議

熊による死亡事故が発生を受け、県が開いた緊急の対策本部会議
飯山市でツキノワグマに襲われたとみられる死亡事故が発生したことを受け、県は20日、緊急の野生鳥獣被害対策本部会議を県庁で開いた。猟期が始まる前の11月14日までに県内の熊の出没の恐れがある場所を緊急点検し、放置された果樹や里と山の間のやぶなど熊の出没につながる危険要因を調べ、対応に当たることを決めた。
飯山市の死亡事故は、イノシシ用のわなの様子を見に山に入った市内男性を、わなに掛かった熊が襲ったとみられる。会議で県環境保全研究所の担当者は「わなに掛かる動物は、人間よりスピードや力が強いものが大半」と指摘。わなに掛かっている動物を安全な場所から確認した上で対処することが、猟の「大前提」と注意喚起した。
同研究所は、里地で食べた物の味を覚えた熊は「成功体験」を長期的に記憶し、母親から子どもに伝わることもあるとして、利用していない柿や栗の木は伐採したり、匂いが出ないように生ごみを処理するなど、熊を誘う物を徹底的に排除することも助言した。隠れ場所を減らすため、やぶの刈り払いも効果があることの説明もあった。
県は市町村や県の熊対策員、鳥獣保護管理員とチームをつくり、地域振興局ごとに直近に熊の目撃情報があった場所周辺を緊急点検する。
今後は市町村や専門家、国の機関などからも意見を聞き、森林と人家が混在する地域での対策のあり方や錯誤捕獲時の対応、狩猟者の確保、熊と人との共存などについて、抜本的な対策も検討することとした。