諏訪圏工業メッセ 「DX」取り組みにも注目

音声入力で画像やデータを呼び出すヘルメットを装着する高校生。スワモのDX展示ブースは若者の人気を集めている=岡谷市民総合体育館
岡谷市の岡谷市民総合体育館とテクノプラザおかやで開いている県内最大の工業見本市「諏訪圏工業メッセ2023」は2日目の20日、来場者の情報交換や商談が本格化した。生産現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを紹介する展示ブースもあり、高い関心が寄せられた。
セイコーエプソン(諏訪市)はクオーツ時計で培った水晶方式の「スマート振動センサー」を展示した。計測した振動を専用ソフトで解析し、建物や生産装置の状態を見える化するシステム。稼働率向上や品質安定、不良率低減に効果があり、今年6月の発売以降、製造現場から注文が相次いでいるという。
同社の担当者は「小さな振動が生産や検査などに影響を及ぼしていることがある。ものづくりは無駄を作らないことが大切であり、微小な振動のデータをどう解析して見える化するか。振動センサーは社内の困り事から生まれた。課題の解決活動がDXの第一歩だと思う」と話した。
DXのサポートを手掛けるNSW(東京)の小林宏充さんも「まずは困り事、やりたいことのデジタル化を考えて。小さな課題から取り組んでほしい」と語る。システム開発のアルティメイトプロジェクト(諏訪市)によると、工程や在庫管理のデジタル化や、定型作業の自動化など、生産現場のDXに関する相談や依頼は増えているという。
NPO諏訪圏ものづくり推進機構(スワモ)は今年度、経済産業省の事業採択を受け、DXに取り組む半導体関連分野の製造企業5社を対象に産学官金の連携で伴走型支援や人材育成に取り組む。来年1月末にも方向性をまとめる計画で、市民総合体育館の展示ブースでDXの取り組みを紹介している。
諏訪二葉高校1年の生徒は「DXを使えば家から授業が受けられそう。すごいことだと思う」と話した。スワモの担当者は「人口減少に対応するためにもDXは避けて通れない。若者たちの発想がとても大切になるだろう」と語り、人材育成の重要性を強調した。