地域の歴史や文化継承 下諏訪で大学院生調査

下諏訪町萩倉の旧跡を巡ったほか、萩倉の模型を前にアイデアを話し合った大学院生や地元住民ら
滋賀県立大学と早稲田大学(東京都)の大学院生ら約10人は18、19の両日、下諏訪町の萩倉地区で地域に根付いた信仰やなりわい、暮らしなどを実地調査した。自律的な地域の運営をサポートする研究プロジェクトの一環。調査をもとに今後、学生たちが萩倉の歴史や文化を次世代に継承していく方法を提案する。
滋賀県立大環境科学部の芦澤竜一教授と早稲田大創造理工学部の渡邊大志准教授が2021年ごろからスタートさせた「むらやし」プロジェクト。信仰や祭りなど地域の記憶媒体を「むらやし」と呼び、それらの”空間化”を目指す。日本や東アジアの5~6地域を対象に研究を進める計画で萩倉は2カ所目。将来的には各地域を結ぶネットワークを構築したい考え。
萩倉は7年目に一度行われる諏訪大社の御柱祭で、山出しの曳行路沿いにあり、見せ場の「木落し坂」がある集落。信仰と生活が一緒に存在する―などとして着目された。訪問は7月に続き2回目。19日には萩倉の集落を地元の人と歩き、山の神や裏山の石碑群などを見学した。萩倉公会所では学生らが作った萩倉の模型を展示。今後、さまざまなアイデアを模型に落とし込んでいく。
早大建築学科修士1年の李昴さん(23)は「萩倉には諏訪大社の信仰と、生活の中で作り上げられた山の神信仰がある。これらの関係性が分かれば面白いことができるのでは」と話した。プロジェクトの受け入れに尽力した小河原昌次さん(65)は「学生たちのアイデアを生かして地域の発展につなげたい」と期待した。