2023年10月22日付
ここ十数年のテレビニュースの変化が気になっている。何かというと以前では扱わなかったであろう地方で起きた小さな事故を全国ニュースで取り上げていることだ。よく見ると視聴者からの映像や画像の提供が増えていることに気づく。特に車載カメラの映像が多いようだ▼ソニー損保が2022年に全国1000人を対象に行ったカーライフ実態調査では約半数が車載カメラを搭載していたという。カメラの急速な普及の裏には全国的に大きく報道された「あおり運転」への備えがあると考えられる▼現代社会では防犯カメラも確実に増えている。犯罪抑止だけでなく犯罪捜査にも用いられ、事件解決に役立つ場合も多い。19年に全国で検挙された刑法犯の約10.2%が防犯カメラ映像が決め手となって容疑者特定につながった▼IHSマークイットの19年調査では、日本の防犯カメラ設置台数は500万台。世界では中国が2億台と圧倒的に多く、次いでアメリカの5000万台、ロシアの1350万台。台数だけで言えば、意外にも日本は世界で4番目に多いのだという▼刑法認知件数が多かった愛知県刈谷市では防犯カメラの増設により認知件数が半減している。安心安全につながる半面、防犯カメラか監視カメラかという言い方で受け取る側の印象も異なり、カメラ映像の悪用への不安、誰かに監視されていないか-という不安があるのもまた事実だ。