2016年12月23日付

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朝から「疲れた」話で始まるのをお許し願いたい。心身ともに疲れていると思わず口に出す言葉が「ごしたい」。疲れたでは、どうも上辺をなぞっているようでしっくりこない。すべてを吐き出せていない。もやもやした気持ちが残る▼学生時代、さまざまな地方出身者と交わる中で方言の豊かさを知った。「明日の授業は出るら」「とんで帰ったんだよ」。相手に通じるとばかり思っていると、けげんな顔で聞き返してきた。「ら?とぶ?どういう意味」。そう言って大笑いした友人の顔を鮮明に思い出す▼「ずら」に焦点を当てた講演会が、諏訪市で開かれた。予想以上の来場者に急きょ会場を変更したというから、方言に対する関心の高さがうかがわれる。講師の大西拓一郎・国立国語研究所教授によると、ずらは山梨、静岡のほぼ全域と長野の主に中南部、愛知の一部で使われている。けれども、最近は「だら」が台頭し、東海2県では、ずらは衰退気味だという▼諏訪は「ズーラ」、上伊那には「イーラ」という方言をヒントに名づけられた体験イベントもある。それだけ根付いている。だらが広まってくる可能性について大西教授は「そう簡単に、ずらの牙城を崩せないだろう」と見通した▼「言葉につながるふるさと」(島崎藤村)である。かるたを作って方言を話す機会を増やすのもいい。ふるさとの大切な文化を子どもたちに伝えていきたい。

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