藤森さんの記録デジタル化 清陵高天文気象部

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藤森さんの70年間の記録をデジタル化し、完成を藤森さんの家族と喜び合う生徒たち

諏訪清陵高校天文気象部(北島壮太朗部長、部員14人)は、太陽の黒点数やプロミネンスの動きを70年にわたり調査し続けた在野の天文研究家、藤森賢一さん(89)=諏訪市小和田田宿=の手書きの記録をデジタル化し、黒点数の年単位の変化がひと目で分かる「黒点相対数グラフ」と、黒点が出現する場所を月単位でまとめた「蝶形図」を完成させた。22日、茅野市八ケ岳総合博物館の開館35周年と近代プラネタリウム100周年記念日イベントで発表した。

藤森さんが18歳の春からほぼ毎日、手法を変えずに一人で蓄積した記録は精度が高く、約400年の太陽観測史において世界的な価値と信頼が置かれている。この貴重な記録を次代に継承して生かそうと同博物館の渡辺真由子学芸員の提案で今夏からデジタル化に取り組んだ。

黒点相対数グラフは1954~2019年、蝶形図は1953~2016年の記録で、生徒たちはデータを入力、グラフ化するためのコンピュータープログラムから自作。蝶形図だけでも約1万5000件に及ぶという膨大な記録を皆で入力した。「大切な記録だけに一つの間違いも許されないと神経を使い、確認作業に念を入れた」と北島部長。同部も1950年から調査記録を続けているが、藤森さんの調査の正確さに触れて「天文を愛する思いが伝わってきた。観測、記録を続ける大事さを改めて感じた」という。

藤森さんは手書きでグラフ、図表も作成してきたが、蝶形図は1987年までで止まっていて完成は悲願だった。同日の発表会への出席はかなわなかったが、長女の宮坂みゆきさん=諏訪市高島=、長男の藤森秀則さん=同市城南=は「思いをつないでくれてこんなにうれしいことはない」と感激。「この記録を基に若者がさらに解明していくことが父の願い。自分の好きなことに取り組む人生を」と、賢一さんの教えを生徒たちに伝えた。プログラミングに取り組んだ副部長の生徒(17)は「将来、天文観測用機器の開発に携わってみたい」と夢を膨らませていた。

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