2023年10月27日付

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岡谷市で19~21日に開かれた諏訪圏工業メッセには、諏訪地域の小中高校生3300人が授業の一環で見学に訪れた。企業の展示ブースでは、小学生たちが部品や製品をじっと見詰め、企業担当者から作り方や用途を聞き取り、熱心にメモを取る光景が広がっていた▼諏訪市に住む小学5年生のA君は見学の翌日、両親に頼んで友だち5人と再訪した。前日の滞在時間が1時間ほどで「全部の企業を見切れなかった」という。前向きな学びの姿勢に感心していると、にかっと笑って「いろいろもらえるしね」とうそぶいた▼その楽しみを授業中に発見したのか、今気付いたのかは分からない。”戦利品”を見せてもらう。ボールペン、キーホルダー、物差し、人形、ステッカー、USBメモリー…。彼らにとって工業メッセは、参道に並ぶ屋台を見て回り、たんか売りや口上に心躍らせる祭りに近いのかもしれない▼メッセは、地方では国内最大級の工業専門展示会だ。当初、ビジネスや商談の場に子どもを受け入れることに「いかがなものか」と拒否反応があったそうだ。22回目の今年、「次世代のものづくり人材育成の場」としても、すっかり定着していた▼A君は「東京に行かなくても働く場所が諏訪にあることが分かった。来てよかった」と話した。東京志向の低年齢化に驚くばかりだが、子どもが面白いと感じた会社がある事実は素直に喜びたい。

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