守矢特別館長発掘の裏話語る 尖石縄文考古館

守矢昌文特別館長による「独立土器」の解説に聞き入る参加者ら
茅野市尖石縄文考古館は25日、数多くの遺跡を発掘した守矢昌文同館特別館長が裏話を語るイベント「発掘、実は!」を同館展示室で開いた。2回目の今回は市尖石遺跡で出土した「独立土器」(X字状把手付深鉢形土器)を取り上げ、背景にあるエピソードを紹介した。
守矢特別館長によると、独立土器は同遺跡が国史跡に指定された1942年に、竪穴住居が無いゾーンで小竪穴や列石とともに発見された。この結果、集落の真ん中に穴と石、土器で構成される共同の広場があることが分かり、「縄文時代のムラのデザインのモデル化に成功した」と調査に当たった考古学研究者宮坂英弌の功績を強調。縄文時代の集落の構造を初めて捉えたという学術的価値が評価され、国特別史跡の指定につながったと説明した。
また独立土器は発掘後、東京帝室博物館(現・東京国立博物館)に展示のため持ち込まれたが、戦時中の混乱で「消息不明」に。2019年に東京国立博物館で「再発見」され、所蔵者に返却後、同館が寄託を受けて展示となったという。
イベントには約10人が参加して、守矢特別館長の解説に興味深く聞き入った。
イベントは同館が行うキャンペーン「考古館へ行ってみよう!」の一環。計4回の計画で以降は11月1日、同8日の午後1時30分から開く。問い合わせは同館(電話0266・76・2270)へ。