ホップ栽培は宅老所利用者 諏訪地ビール完成

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栽培した地元産ホップを使ったクラフトビール。施設利用者と職員が完成を喜んだ

諏訪市中洲にある「宅老所いぶき」の利用者らが育てたホップを使った地ビールが完成した。高齢者、認知症を抱える人たちの社会参加を後押しする初の取り組み。クラフトビール醸造の麗人酒造(同市)とのコラボが実現し、「諏訪浪漫 いぶきくんラベル」1200本を製造。来年の商品化を目指し、夢を膨らませている。

利用者が育てたのは品種「カイコガネ」。市内の畑約60平方メートルを住民から借りて苗を植え、無農薬で栽培した。9月上旬にかけてホップのつるから「毬花」を摘み取り、約4キロを収穫。高齢者から「ビールにしたい」との声が上がり、地元酒造に協力を求めた。

高齢者が栽培し、青々としたホップが育つ畑

1本350ミリリットル。乾燥ホップに地元産の生ホップを加え、爽やかな飲み口とすっきりとした後味が特徴。ラベルには、年を重ね、認知症になっても自分らしく暮らし、支え合いたいとのメッセージをあしらった。今回は試験醸造として関係者に配布する。

冷涼な気候の八ケ岳山麓はホップの生育に適し、かつて生産地として知られたが衰退。市内での栽培は珍しく、目にした住民から「ビールを飲んでみたい」と声を掛けられることも。関心を集め、地域の人との交流の場にもなるという。

90歳女性は完成したクラフトビールを手にし、「泥んこになって一生懸命に摘んだわね。あれがおいしいビールになるなんて、不思議」と顔をほころばせた。

来年は栽培面積を拡大し、収穫量を増やす計画だ。同施設を運営する一夢希(同市)の藤森史考代表(45)は「地域の人とつながり、共に支え合い、生きがいづくりになればいい」と話した。

麗人酒造によると、国産の生ホップを使うのは今回初めて。営業部長の小口雅史さん(49)は「地元産ホップの量をさらに増やせば魅力あるクラフトビールになり、需要も高まる」と期待を込めた。

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